ファミコン世代のみなさん、こんにちは。
1990年、私たちは小学4年生か5年生になっていました。
『ドラクエ3』の熱狂から2年。そろそろ「勇者」ごっこを卒業し、もう少し大人びた物語を求めていた時期ではないでしょうか。
そんな時に現れたのが『ファイナルファンタジーIII』でした。
今回は、シリーズ屈指の名曲であり、私を「ドラクエ一筋」から「FFも好き」へと転向させた決定的な一曲、フィールドBGM「悠久の風」をご紹介します。
勇ましい行進曲ではなく、どこか寂しくて、でも美しい。あのメロディが流れた瞬間、ファミコンのドット絵が「広大な世界」に見えた魔法について語ります。
| 基本データ | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | ファイナルファンタジーIII |
| 発売年 | 1990年 |
| 機種 | ファミコン (FC) |
| 作曲者 | 植松伸夫 |
| 曲名 | 悠久の風 (Eternal Wind) |
FF3『悠久の風』を聴いてみよう
まずは、クリスタルの輝きと共に思い出されるこの名曲をお聴きください。
※出典:[【Video Soundtrack】悠久の風(ファイナルファンタジーIII)]
「浮遊大陸」を出た瞬間の衝撃と、世界の広がり
FF3を語る上で絶対に外せないのが、「浮遊大陸」脱出のシーンです。
ゲーム序盤、私たちは「これが世界の全てだ」と思って冒険していました。
しかし、エンタープライズ号を手に入れて世界の端を超えた瞬間、眼下に広がっていたのは……見渡す限りの大海原と、果てしなく広い「本当の世界」でした。
「世界はこんなに広かったのか……」
その驚愕と共に流れてきたのが、この『悠久の風』です。
それまでのフィールド曲とは違う、透き通るようなフルート(のような音色)のメロディ。
勇ましさよりも「旅の果てしなさ」や「孤独」を感じさせるその音色は、未知の世界へ飛び出す不安と期待に見事にマッチしていました。
多くのプレイヤーがこの瞬間に心を奪われ、コントローラーを置いて聴き入ったと言われています。私もその一人でした。
ファミコン音源の限界を超えた「植松ベース」と「アルペジオ」
音楽的な視点で見ると、この曲はファミコン後期の技術の結晶です。
作曲者の植松伸夫氏は、わずか3音しか出せないファミコンで「いかにリッチに聴かせるか」をゲーム感覚で楽しんでいたそうです。
- 歌うようなベースライン
よく聴くと、低い音(ベース)が単なる伴奏ではなく、メロディのように動いているのがわかります。植松氏の曲は「デデデデ」と動くベースラインが特徴的で、これが曲に疾走感と哀愁を与えています。 - 高速アルペジオの魔法
「プレリュード」でも有名ですが、和音を分散させて高速で鳴らす(パラララ……)ことで、キラキラとした透明感を表現しています。 - 立体感を出すエコー
3音のうち2音を微妙にずらして鳴らすことで、擬似的にエコー(反響音)を作り出し、フィールドの広がりを表現する工夫もされていました。
「ドラクエ」のすぎやまこういち氏がクラシックのオーケストラを目指したのに対し、「FF」の植松伸夫氏はプログレッシブ・ロックの手法を取り入れ、電子音ならではの気持ちよさを追求していた。この対比が面白いですよね。
30年以上愛される「切なさ」の正体
この曲は、NHKの「全ファイナルファンタジー大投票」音楽部門でも16位にランクインするなど、シリーズ数千曲の中でも不動の人気を誇ります。
なぜここまで愛されるのか。それは、この曲が持つ「切なさ」にあるのではないでしょうか。
ドラクエの曲が「さあ、冒険だ!」と背中を押してくれるとしたら、FFの『悠久の風』は「旅は長く、時には孤独だ」と静かに寄り添ってくれるような感覚。
小学4年生だった私は、この曲を聴いて初めて「かっこいい音楽」の中に「泣ける要素」があることを知りました。
ちなみに、2021年の東京オリンピック開会式でFFの曲(メインテーマや勝利のファンファーレ)が使われ話題になりましたが、ファンの間では「悠久の風も流してほしかった!」という声が多く上がったそうです。それくらい、私たちにとっては「日本の宝」と言える一曲ですね。
まとめ
今回は、FF3を象徴する名曲『悠久の風』を紹介しました。
- 浮遊大陸脱出の衝撃とセットになった、記憶のアンカー
- 植松伸夫氏による、ベースラインとアルペジオの革新
- 「切なさ」という感情を教えてくれた、大人の階段
当時、カセットテープが付いたアレンジアルバム『悠久の風伝説』を買って聴いていた、なんてマニアックな方もいるかもしれませんね。
みなさんは、FF3で「たまねぎ剣士」を最強まで育てましたか?それとも「忍者・賢者」でゴリ押ししましたか?
ぜひ、あの頃のパーティ編成を思い出しながら、久しぶりにこの風を感じてみてください。
