ファミコン世代のみなさん、こんにちは。
1989年のクリスマス直前、小学3年生だった私は、あるアクションゲームの「音」に衝撃を受けていました。
『悪魔城伝説』。
「これ、本当にファミコンの音?」
テレビのスピーカーから流れてきたのは、それまでのピコピコ音とは明らかに違う、重厚で美しいオーケストラのような響きでした。
今回は、シリーズ屈指の名曲として名高いステージ1のBGM「Beginning」をご紹介します。
実はこのリッチなサウンド、カセットの中に埋め込まれた「あるチップ」のおかげであり、海外の子供たちは聴くことができなかった「日本だけの贅沢」だったのです。
| 基本データ | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | 悪魔城伝説 |
| 発売年 | 1989年 |
| 機種 | ファミコン (FC) |
| 作曲者 | コナミ矩形波倶楽部 (船橋淳 他) |
| 曲名 | Beginning (ステージ1 BGM) |
Beginningを聴いてみよう
まずは、教会の廃墟と墓場をバックに流れる、荘厳かつ勇ましいメロディをお聴きください。
※出典:[【悪魔城伝説】BGM「Beginning」]
ファミコンの限界を超えた「VRC6」の衝撃
この曲を聴いて、「音が分厚い」と感じませんか?
ベースの音がブーブー鳴るのではなく、弦楽器のように響いているのがわかると思います。
その秘密は、カセットに搭載された「VRC6」というコナミ独自の拡張音源チップにあります。
通常のファミコンは同時に出せる音が「3音+ノイズ」程度ですが、このチップはさらに3音(矩形波2音+ノコギリ波1音)を追加することができました。
つまり、倍近い音数で演奏していたのです。
特に追加された「ノコギリ波」は、バイオリンやブラスのような鋭い音を表現できるため、このゲーム特有のゴシックホラーな世界観を完璧に演出していました。
実はこのVRC6チップ、海外版(NES版)ではコストや仕様の問題でカットされています。
そのため、海外のファンが後年になって日本版のBGMを聴き、「なんてことだ、日本版はこんなに音が良かったのか!」と悔しがったという逸話もあります。
小3の私を魅了した「美しすぎる恐怖」
『スーパーマリオ』のような明るいポップな世界も好きでしたが、小学3年生くらいになると、少し背伸びをして「怖いもの」に惹かれ始めます。
『悪魔城伝説』は、まさにそんな少年の心を鷲掴みにしました。
スタート直後の教会、崩れ落ちる柱、そして襲いかかってくる骸骨や半魚人。
難易度は鬼のように高く、何度もゲームオーバーになりましたが、この「Beginning」のカッコよさと、ドット絵で描かれた緻密なグラフィック見たさに、何度でもコンティニューしました。
「ラルフ」一人では心が折れそうでしたが、「サイファ」の魔法や「アルカード」のコウモリ変身など、頼もしい仲間たちとの共闘があったからこそ、この恐怖の城に挑み続けられたのだと思います。
「ドラキュラ三大名曲」の始まり
この「Beginning」は、初代『悪魔城ドラキュラ』の「Vampire Killer」、『ドラキュラII』の「Bloody Tears」と並び、「ドラキュラ三大名曲」の一つとして数えられています。
その名の通り「始まり」を告げるこの曲は、単なるステージBGMを超え、ベルモンド一族の宿命と決意を象徴するアンセムとなりました。
後のシリーズや『大乱闘スマッシュブラザーズ』などでも豪華なアレンジで収録されていますが、VRC6が奏でる「ファミコン版の硬質で哀愁ある響き」は、やはり別格の魅力があります。
まとめ
今回は、ファミコン後期の傑作『悪魔城伝説』から「Beginning」を紹介しました。
- 専用チップVRC6が生んだ、日本版だけの贅沢なサウンド
- ゴシックホラーの美しさと恐怖を表現した名曲
- 海外版にはない「幻の音源」としての価値
大人になった今、改めて聴き直すと、当時のコナミ矩形波倶楽部がいかに高度な技術でこの曲を作り上げていたかに驚かされます。
みなさんは、どのパートナーを連れて行きましたか?
壁を登れるグラント? 強力な魔法のサイファ? それともドラキュラの息子アルカード?
当時の冒険の記憶を、ぜひこの曲と共に思い出してみてください。
